本日、ももの木訪問看護リハビリステーションを立ち上げ、初めてのグリーフケアに行って参りました。死別を経験されますと、喪失と立ち直り、この共存する二つの間で揺れ動き、なんとも不安定な状態となります。同時に身体上にも不愉快な反応・違和感を経験します。これらを「グリーフ」と言います。このような状態にある人に、さりげなく寄り添い、援助することを「グリーフケア」と言います。
初めてAさんとお会いした時はご自宅のベッドの上でした。鬱を患っておられ、大きな瞳で不安気に私を見つめておられました。なんて美しいお顔立ちなんだろう…それが私の第一印象でした。
退院され数日間ご自宅で過ごされましたが、すぐ再入院となりました。ご主人も大病を患っておられましたが、ご自身の身を削って献身的に介護されましたが、Aさんは旅立っていかれました。ご入院先で面会させていただいた時の、何とも言えないAさんの柔らかくも鋭いような眼差しが、今でも脳裏に浮かびます。お花が大好きで、鬱を患うほどとても心が豊かで繊細でうつくしいAさん。最期のお姿もAさんの心や生き様が写し出されているようでした。今振り返れば、在宅に戻られた数日間は、最愛なるご主人と過ごされた貴重なお時間でした。毎回Aさんの手に触れながら笑顔で寄り添いました。退院後の早期に再入院となってしまったことから、訪問看護師としてもっとできたことがあったのではないかと、すぐに症例報告にまとめ看護の在り方について振り返りました。
関わらせていただいた期間はとても短いものでしたが、グリーフケアではご主人よりありがたいお言葉を拝聴し、大切なのは関わった期間の長さではなく、誠心誠意努めることができれば、信頼関係を築くことができる…ということを身を持って実感させていただきました。
ご主人はまさにグリーフの時を過ごされており、喪失・立ち直りを言葉に表されていました。「声が聴けないのがつらい・・・」そう仰られ、私たちは返す言葉もみつからず、ただただ傾聴させていただきました。最後「またいつでも寄ってください」と温かいお言葉を頂戴いたしました。
また立ち寄らせてくださいね。いつでも、ももの木はそばにいますから…
どうか、くれぐれもお身体ご自愛ください。